吟詠つれづれ

「孤独の酔心」

須賀敦子氏の随想「コルシア書店の仲間たち」のある件にこころに留まる言葉がある。

「私たちはすこしずつ、孤独が、かつて私たちを恐れさせたような荒野ではないことを知った。」

とあるのだ。

物語の中にあるミラノの小さな書店にて。

そこを行き交う人と人の交友を支えたものが、実は、別々の途を歩むそれぞれの孤独だったと振り返っている。

だれかとの上滑りな共感がなくとも、行き過ぎた予定調和がなくとも、

自分をありのままを愛して生きていくことが、たしかな途につながると確信する。

吟じていると似たような感覚が得られる。

その確信と儚さに酔心してしまうわたしです。

秀宗