「詩吟」とは漢詩に節をつけて流暢にリズミカルに謳うことを言います。
「吟詠」とは漢詩だけではなく和歌や近体詩などを謳うことを総じて言います。
日本の昔の生活の場面では「詩を朗誦する」ということは日常的に見られました。
古くは遣唐使の時代に現在の形の原型ともいわれるものがあったとも言われています。
また、詩吟には1000年以上の歴史があります。もっとも盛んに広まったと言われるのは何と言っても幕末の頃でしょう。武士階級の嗜みとして「漢詩の詩作」が広まったと同時に、吟じられたものでした。しかし、当時の吟詠の形は現在の音楽性豊かなものとは異なり、大きい声を張り上げるというもので、イメージとしては悲憤慷慨するという表現がより近しいものと思われます。その後、明治時代を経て大正になって後に、今日の音楽的要素を盛り込んだ吟じ方に徐々に変容していったと言われています。この当時、日本には琵琶奏者が多くいたこともあって、これまで吟じることの無かった女性たちにも多く好まれていったようです。
その後、太平洋戦争後の荒廃した世相を、良き日本人としてのあるべき「人間性の回復」の為にと多くの人々に必要とされ、ブームになり日本各地で広まりました。その頃の伴奏は調子笛でありました。その後、日本の経済発展に伴うかのようにあらゆるジャンルの音楽が色々な形で楽しまれるようになったのを受けて、「吟詠」もまた音楽的要素を多分に盛り込み洗練されていきました。当初は尺八、琴での演奏が中心でしたが、現在では、アクセント、音程、詩情表現など音楽として確立して、伴奏もオーケストラ伴奏が標準となり、吟詠は音楽性豊かな古典芸能としての形式を確立しています。
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